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西のテレフンケンと双璧をなした東ドイツのRFTによるデュアルコーン仕様のフルレンジスピーカーL2301を出品します。当時西側で隆盛を誇っていたテレフンケンやジーメンスに対抗し東側で設計されたビンテージフルレンジドライバの代表格です。この出品物はオリジナルの密閉型エンクロージャーに搭載された特に貴重な品物です。ドライバのコンディションは極上。エンクロージャーに若干経年劣化による痛みが見られますので格安にて出品いたします。
70年代 東ドイツの工業技術
RFTは当時音響・無線機器の製造を担った東ドイツのVEB(要するに人民公社)の中でも優れたスピーカードライバを製造していたことで知られています。現在でもレコーディングスタジオやマスタリングスタジオで導入されている超高級フルレンジモニタースピーカーで知られるGeithainは、実は東ドイツ時代からRFTとのスピーカーの共同開発に携わっており、RFTのベストセラースピーカーBRシリーズはガイトハインと共同で製造されたものです。
「ドイツの工業技術」というと今でも「質実剛健」というワードが浮かぶ方が世代によっては多いのではないでしょうか。私見ですが、ドイツ的な質実剛健さは東ドイツの製品に見ることが多いと感じます。西側の製品に比べてどこか抑制の効いたデザインが施されたものが多い東側の製品ですが、カール・ツァイスなどの光学機器の例もあるように当時の東ドイツの工業技術も非常に高かったことが知られています。RFTはその中でも特に硬派な印象を受ける製品を多く製造しており、このL2301はこちらドイツのビンテージオーディオマニアなら誰でも知っている名機です。
13cmのフルレンジドライバが約7リットルの密閉型のエンクロージャーに収められたシンプルなスピーカーです。これまで200ペアを超えるドイツのビンテージスピーカーを扱って来ましたが、その中でも特に音が良いと感じたフルレンジシステムはいつも吸音材が上下と側面のパネルに沿って施されており、フロント・リアパネルには吸音材がついておらず、フロント面がしっかりと制振されている一方リアパネルは比較的薄い材質のものが使われていることがほとんどでした。このスピーカーもその典型的なもので、パンパンに吸音材が詰められ定位がしっかりと決まり中低域にコシのあるIsophonやTelefunkenとは対照的です。その点ではSABAやPHILIPSのサウンドに似ているとも言えますが、L2301はその硬派な設計とサウンドで独自の地位を確立しているように感じます。
見た目の印象を見事に裏切る堂々としたジャーマンサウンド
非常にコンパクトでもちろんクロスオーバーもない硬派な設計のこのスピーカーですが、セッティングが決まるとそのサイズからは想像もできないスケールの音像を結びます。デュアルコーン仕様ということもあり、分離は抜群です。またカタログでは周波数特性は「75...16000Hz」となっていますが、このエンクロージャーですとそれよりもよほどワイドなサウンドに感じます。
もともとは70年代当時の真空管ラジオ用のスピーカーとして設計されたものです。定格入力は6Wでインピーダンスは6オーム。低出力の真空管アンプで鳴らすのに理想的なスピーカーです。私のリビングではNordmendeの1ワットの超低出力真空管アンプでテストしましたが、ミキサーのチャンネルフェーダー、マスターフェーダーの両方がユニティの場所で音量もバッチリ決まるという理想的な組み合わせでスピーカーもそれこそフルになりきっていることを感じます。かつてドイツの一般家庭ではこのサウンドで真空管ラジオを聞いていたのかと思うと驚きです。
重厚長大型の高価なシステムでなくとも音楽はしっかりと楽しむことはできます。特にドイツ、オーストリア、オランダのビンテージオーディオは総じて洗練された原音忠実設計のもとに製造された名品揃い。密閉型の13cmのフルレンジユニットというシンプルすぎるこの硬派なスピーカーはこれからドイツのビンテージオーディオを始めようという方に是非是非進めたいモデルです。特に低出力の真空管アンプをお持ちの方には理想的なスピーカーになるでしょう。またL2301はヨーロッパでも自作派に人気があり、様々なエンクロージャーの設計がインターネット上で手に入ります。自作派の方もこのドライバは1ペア持っておいて損はないと感じます。
サウンドチェック
ポーランド・ワルシャワの私の自宅スタジオ、並びに私が協働しているオーディオリペア業者Charlie Studioで細かく動作確認とサウンドチェックを行なっています。
*今回は今話題のTripath TA2020を搭載したデジタルアンプでもテストしました。またサウンドカードも低価格のAudient iD4を追加しました。このアンプとサウンドカードなら非常に低価格でもかなりの品質のサウンドシステムが簡単に手に入るので、私も知人に薦めています。あるアメリカのレコーディングエンジニアもAuratoneのパッシブモニターの駆動にTA2020を搭載した中華アンプを使っており、あくまでそのまま正確にフラットに鳴らすという意味では素晴らしい性能を発揮してくれます。ドイツのスピーカーはデスクトップでも大変よく鳴りますので、この組み合わせは全てコンパクトかつ低価格で高品位ですのでおすすめです。
ジャーマンビンテージらしいサウンドをよりワイドレンジに緻密に楽しみたいという方には現在同時に出品中のSABA BOX1がおすすめです。また対照的にモニターのような本格的なドイツの音響機器のサウンドが味わいたいという方にはISOPHON Diamat2000がとにかくおすすめです。是非下のリンクから他の出品物もご覧ください;https://auctions..co.jp/seller/masayahijikata
発送について
私が在住するポーランド・ワルシャワからポーランド郵便 Poczta Polska を利用して落札者様にお届けします。2018年から Poczta Polska を利用していますが、国際郵便にありがちな荷物の紛失、未配達などのトラブルは現時点では一件もございません。また、配送には通常10営業日前後かかっておりますが、こちら新型コロナウイルス蔓延の影響もありますので若干前後することがございます。発送後には荷物番号をお知らせし、お届けまでこちらでも配送状況を逐次確認しお知らせいたします。
ポーランド郵便局 Poczta Polskahttps://www.poczta-polska.pl/
L2301スペック
製造:RFT VEB Elektroakustik Leipzig製造国:東ドイツ製造年:1973年定格入力:6Wインピーダンス:6Ω構成:13cm フルレンジシステム デュアルコーン仕様寸法:縦230mm、横170mm、奥行き200mm
落札者様へお願い
出品物はL2301エンクロージャー入り ペアのみとなります。写真に写っている他の備品は出品物に含まれませんのでご了承ください。この品物は数十年以上前に製造されたものであるということをご理解いただいた上でのご落札をお願いいたします。また配送日数も前後する場合がございますが、国際郵便であることをご考慮いただきご理解いただけますようお願いいたします。